インフラのなかでもITに欠かせないものの一つ、電力。中部電力がオープンイノベーションに乗り出した。
中部電力は6月9日に開設したWebサイト「COE(声)」において、オープンイノベーションを活用した2件の事業化プログラムと1件の技術・ソリューション提案プログラムの募集を開始した。
このプロジェクトの特徴は3つのスキームにわけられており、スタートアップ等にとっては自身にとって適したプロジェクトにエントリーできるところだろう。以下3つのプロジェクトについて説明する。
COE Business factory 2017
まずはCOE Business factory 2017だ。こちらは中部電力と一歩先を行く事業創造をテーマに、広く事業アイデア・ビジネスプランを募集し、応募の中から優れた事業アイデアに対しては、アクセラレータプログラムを行い、事業化に向けた取り組み推進を支援する。ベンチャーやスタートアップ、大学、研究機関等などが想定される応募対象のようだ。
応募資格
応募対象者は、法人(近日中(半年以内)に設立予定含む)に限る。但し、会社規模等は問わない。
対象事業領域・解決したい事・実現したい事
メディカル・ヘルスケア
健康増進・予防により健やかなくらしの実現
物流
便利で効率的なラストワンマイルまでの物流の実現
社会インフラの維持運用
民力・ICT活用による社会・公共インフラの効率的な維持
産業活性化
地域産業の活性化とともに6次産業、アグリテックなどの新たな産業の創出
インバウンド
地域の資源活用による観光活性化推進
街の活性化・スマート化
生活に必要な機能が効率的・有機的に連携した生活基盤
くらしの快適
最先端技術を活用した快適でクリーンなくらしの実現
中部電力の提供するリソース
収集・蓄積された各種データ
ご家庭やビル・工場などから収集される検針データ、停電データ、電力需給データ、中部地域の気象データなどを収集・蓄積している。
電柱・鉄塔・通信などの送配電設備
電柱280万本、鉄塔3万基、無線鉄塔160基、通信ケーブル37千kmなど中部一円に張り巡らされた送配電設備を保有している。
自治体・企業とのネットワーク
24時間・365日休みない設備運用ノウハウ
安全・安心な電力供給のため、24時間365日休むことなく送配電設備の監視・運用を行っています。設備面から体制面に至る設計・監視・運用ノウハウを保有している。
中部地域をくまなくサポートする事業展開
中部地域一円に営業拠点・人員を配しており、域内をくまなくサポートする事業展開を行っている。
最優秀賞20万円、優秀賞10万円となっている。
募集期間は2017年7月13日(木)~2017年8月25日(金)となっている。応募は以下のリンク先から可能となっている。
https://coenw.chuden.jp/business-factory/2017/
スマートポールプロジェクト
つぎにスマートポールプロジェクトだ。スマートポール=電柱。中部電力は電柱上に電子ペーパー、センサー、ビーコン、カメラなどを設置し、サービスプラットフォームとしてサービス事業者様に提供する検討を行っている。このサービスプラットフォームを活用し、事業化に向けて協同いただけるサービス事業者様をパートナー企業として募集する。
応募資格
・応募対象者は、法人に限る。但し、会社規模等は問わない。
・中部電力が提供を検討しているサービスプラットフォームを利用したサービスを開発し、自社で提供可能なこと。
・中部電力とWin-Winの関係を構築し、サービス開発者の立場から、サービスプラットフォームの構築に向けた検討に協力いただけること。なお、サービスの開発段階としては以下のA~Cのいずれでも良い。
A.開発途上:技術・アイデアだけの段階で、商品化に向けて開発中
B.事業化準備:商品化までは完了しているが、事業としてはまだ成立していない
C.事業拡大:サービスを開始しているが、さらなる拡大を図りたいと思っている
募集サービスについて
電柱に設置したICT機器を活用したサービス
募集期間は2017年7月13日(木)~ 2017年8月18日(金)になっている。こちらについては中部練力のパートナーになれるチャンスだ。応募は以下のリンク先からできる。
https://coenw.chuden.jp/smartpole/2017/
COE 技術・ソリューション提案公募2017
3つ目はCOE(声)技術・ソリューション提案公募2017だ、中部電力の様々な業務に関する課題・ニーズのうち、ベンチャー企業や大学、研究機関と共同で取り組んでいきたい課題・ニーズを募集テーマとして公開し、幅広い提案を募集する。
応募資格
応募対象者は、企業、大学、研究機関等、組織形態は不問。ただし、個人は不可。
募集テーマ
樹木の自動判別技術
以下3つを実現する技術(3つのうち1つだけでも提案可能)
①樹木の本数、大きさの測定
②樹種の自動判定
③樹木の伸びの予想(成長シュミレーション)
設備状況の遠隔確認
設備の故障等が発生した際、故障現場の映像・時刻・位置情報等を遠隔でリアルタイムに確認する仕組み
対象場所:屋内・屋外の電力設備
持ち出し機器・書類の紛失防止
(A/Bは個別に提案可能)
A.持ち出し機器の紛失防止
以下の2つを実現する仕組み(2つのうち1つだけでも提案可能)
①持ち出し機器が紛失しないような仕組み
②持ち出し機器が紛失した場合に早期発見する仕組み
B.持ち出し書類の紛失防止
以下の2つを実現する仕組み(2つのうち1つだけでも提案可能)
①持ち出し書類が紛失しないような仕組み
②持ち出し書類が紛失した場合に早期発見または情報漏えいを防止する仕組み
社有車の運行管理
以下の2つを実現する仕組み(2つのうち1つだけでも提案可能)
①社有車の安全な運行を支援する仕組み
②社有車の運行実績の自動記録…使用者、使用日、出発、帰着、同乗者、目的、走行距離など運行実績を記録する仕組み
議事録作成支援技術
会議内容を文書化し議事録作成を支援する技術(発言者・発言内容を自動的に文書化するなど)
このプロジェクトはより具体的なテーマ設定がされている。募集期間は他よりながく2017年7月13日(木)~2017年12月22日(金)となっている。応募は以下のリンク先から。
https://coenw.chuden.jp/solution/2017/
いずれのプレジェクトの説明会も、7月13日に東京で、7月14日、19日に名古屋で予定されている。ただし、説明会参加は必須要件ではないようだ。3つのプロジェクトの募集範囲に、多くのスタートアップはどこかのプロジェクトの対象にはなるだろう。ぜひチャレンジしていただきたい。