先日韓国のスタートアップ事情について簡単に調べてみたが、百聞は一見にしかずということで1月21日におこなわれたイベントを見に行ってきた。
寒い
先週末から50年に一度の大寒波におそわれた九州だが、その直前にソウルにいった身にとっては寒さを感じない。それくらいソウルは寒い。マイナス10度を下回る。耳が痛い。
寒いので早速イベントが行われるTIPS Townへ。
 TIPS Town は韓国の経済成長の中心、江南に2015年に誕生した。
TIPS Town は韓国の経済成長の中心、江南に2015年に誕生した。
TIPS TOWNは1号棟~4号棟まで4つのビル群からなり、2017年までに160チームが入居予定とのこと。創業済の起業家による教育、アドバイス等に力を入れており、多くのセミナーやイベント、メンタリングが行われている。
コワーキングスペースではセミナーや、ハッカソンが開催中。平日にもかかわらずととにかく人が多く熱気であふれている。
ずらっとならんだ3Dプリンター。1号棟1階にはカフェテリアとMakersVillの体験ブースが設置されており、短期間の講習を受けることで実際に3Dプリンターを使った模型の製作が可能。視察を行った日にも約20名が講習を受けていた。
カフェも併設されており、いたれりつくせり。韓国の本気度合いが伝わる。
ちなみに管理者に確認したところ、タウンの入居者に国籍の制限は設けておらず、申請を出すことは可能とのこと。興味ある人はチャレンジするのもありかも。入居にあたっては運営側から最低1億ウォンの投資を受ける必要がある(ただし、ここで1億ウォンの投資を受けると韓国政府が追加で9億ウォン支援するらしい。未確認だが韓国法人に限った話だろう)。
韓国のスタートアップを集積する目的で作ったTIPS Town
今回ここで行われたイベントはGet in the ring 東アジア地区決勝。ここで勝てばコロンビアで行われる世界大会への出場権を得る。
Get in the ring は2012年にオランダで生まれた、オランダ政府公認の団体が運営するスタートアップを支援するためのイベント。ピッチの場を提供し、勝ち残ったスタートアップにはさまざまなサポートを提供する。スタートアップを売上や資金調達のステージによってライト級、ミドル級、ヘビー級の3つのクラス分けをした上で、ピッチによるボクシング形式にてテーマに沿った5ラウンドの対決を行う。
さて今回の東アジア決勝では、ライト級に日本、韓国、モンゴル、インドから合計4つのスタートアップがエントリー。ミドル級には日本、韓国、インドから合計3つのスタートアップがエントリーした。当日は韓国のキーテレビ局2社も取材にきていた。
なお、日本代表は昨年12月に福岡にて行われたGet in the ring Japan Finalにて選出された。
以下出場スタートアップの概略
ライト級
HYPERVERGE(インド)
ディープラーニングに基づく画像認識による写真の検索システムの開発
ROBER(日本)
高齢者による小規模サービス(宅配・掃除・子供の世話など)の実施
GLOBEE(韓国)
ネイティブスピーカーによる語学学習アプリの開発
FLASHDRIVE(モンゴル)
交通渋滞軽減のためのシステムの開発
ミドル級
DOT INCORPORATION(韓国)
視覚障碍者のための時計型点字翻訳機の開発
TEAMON(日本)
スケジュールやタスクの管理、グループチャットやビデオ会議などの業務を一元化できるサービスの開発、運営
DOCTORS CIRCLE(インド)
ビデオによる医者の診察が受けられるアプリの開発
軽快な口調のMCで会場は盛り上がりを見せる中、ライト級からイベントスタート
日本代表 Roberはピッチ登壇予定者がパスポートトラブルにより急遽韓国入りできず直前になって代打が登壇。
 スマホ片手の英語ピッチで大苦戦となったが、なんとか最後までタオルを投げることなく5ラウンドを終了。
スマホ片手の英語ピッチで大苦戦となったが、なんとか最後までタオルを投げることなく5ラウンドを終了。
4つのスタートアップで競ったライト級の勝者はRoberとの直接対決を制したインドのスタートアップHYPERVERGEとなった。HYPERVERGEはプロダクトのできもさることながら、ピッチタイム1回25秒を余すことなく使い、オーディエンスの心をつかんだのが勝因か。
そしてミドル級
ミドル級はさすがレベルが高く、すでにメディアでも話題となった韓国のスタートアップdotが意気揚々と登場。同社の視覚障害者向けの腕時計をSNSで見かけた人も多いだろう。日本代表のTeamonも英語でのピッチを苦とせず、各ラウンドにおいてプロダクトやチームの強みをアピールしていく。
高レベルとなったミドル級を制したのは韓国のdot。競合がない状況で先行して市場にPRしている点が評価されたか。
残念ながら日本のスタートアップの世界大会行きはならなかった。
英語を苦にしなければ十分日本のスタートアップも世界大会への切符を届くレベルだと思う。
ただし、ピッチ対決をする相手が初めからマーケットをグローバルで見ているということが日本で行われるピッチコンペティションとの大きな違いだろう。なにもこの違いはシリコンバレーと日本を比較するから存在するのではない。お隣の韓国と比較しても存在するのだ。
福岡がアジアとの距離的な近接をメリットとしてあげていくのであれば、スタートアップがどのステージで海外展開を実現していくかはさておき、初めからグローバルを見据えた戦略を持ったスタートアップが増える必要があるだろう。
気温は寒いソウル。が、スタートアップシーンは熱く盛り上がりを見せていた。
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