岩盤より硬い鉄板を突破したとして、1月にインパクトを持って発表されたスタートアップ減税。具体的にはどんな企業が対象になってどれくらい減税されるのだろうか。
実は具体的にはどこが対象になるかはまだ決まっていない。とりあえず現時点でわかっていることをまとめてみた。
平成28年度税制改正大綱をみてみると(一部引用)、
「大胆な規制改革 によって生まれる革新的なビジネスの成長を支援するため,そうしたビジネスの担い手 となる創業後5年以内の企業について,一定要件の下で課税所得の2割を控除する制度 」
であり
「青色申 告書を提出する内国法人で,国家戦略特別区域の指定の日以後に設立され,同区域内に 本店又は主たる事務所を有し,専ら特定事業を営むものであって,国家戦略特別 区域法の改正法の施行の日から平成 30 年 3 月 31 日までの間に国家戦略特別区域担当大 臣の指定を受けた法人(同区域外の事業所において一定の業務以外の業務を行わないものであること,その事業所に勤務する従業員の数の合計がその法人の常時使用 する従業員の数の 20%以下であること等の要件を満たすものに限る。)については,その
設立の日から5年間,所得の金額の 20%の所得控除ができることとする」
とあり
特定事業とは
「医療,国際及び農業分野の事業並びに「インターネットその 他の情報通信技術を活用し,物品による情報の収集,蓄積,解析又は発信及び当該 情報を活用した物品の自律的な作動を可能とするために必要な技術の研究開発又はその成果を活用した一定の事業 」
であり
一定の業務とは
「調査,広告宣伝等の業務 」
とある。
非常にわかりづらいので福岡市のリリースをみてみると(一部引用)
○福岡市をはじめ,東京圏・関西圏・愛知県など全ての国家戦略特区に適用
○ 以下の要件を満たす法人が対象 (主なもの,詳細は確認中)
・ 特区の指定日(H26.5.1)以後に設立され,特区内に本店を有すること
・ いわゆる岩盤規制の特例措置を活用し,IoT,国際,医療,農業の4分野で一定の革新 的なビジネスを実施すること
・ 特区法改正(今後予定)の施行の日から平成30年3月31日までの間に特区担当大臣の 指定を受けること
○ 会社設立の日から5年間,所得の金額を20%控除
とある。
まだわかりづらいのでもっと簡単にまとめると
・平成26年5月1日以降に福岡市またはその他の国家戦略特区に本店登記をした法人(または主たる事業所を設立)した法人が、特区内の特例措置を活用して、IoT,国際,医療,農業の4分野でイノベーティブなビジネスを行っていると特区担当大臣に認められた場合に法人の所得を20%控除できる
ということだ。
設立年度などは誰がみてもすぐ判断できるが、「特区内の特例措置を活用して」というところと,「IoT,国際,医療,農業の4分野でイノベーティブなビジネス」というところがまだこれから詰められていく点で現段階ではどのようなものを指すかはわからない。
例えばスタートアップビザの認定を受けることが「特区内の得措置を活用」にあたることが想像出来る。その他には国家公務員の雇用などだろうか。
20%の所得控除をすると法人税の実効税率は24%程度となり、シンガポールの17%などには及ばないものの韓国とは同程度になる。
例えば海外の法人や国内の法人が子会社を設立する場合にもこのスタートアップ減税を活用できるとなると特区内に進出するインセンティブは強くなる。そのような法人が増えることで人材が流入し、雇用も生まれ、人材の流動生が増し、スタートアップにとってもいい影響が生まれるだろう。
折角、福岡市が先頭に立ち勝ち取った鉄板突破。間口を広げて多くのスタートアップがその対象となるような運用になることを期待する。