テラスマイル株式会社(以下、テラスマイル)とソフトバンク・テクノロジー株式会社(以下 SBT)は、2016年6月6日に、「農業経営の見える化」及び「稼げる農業を支援するレポーティングとコンサルティング」等に関するサービス開発及び販売を行うための業務提携契約を締結した。
農業経営の見える化を!次世代農家が抱える農業経営の課題
現在、次世代を担う農業従事者に対しての生産技術支援については、県の農業試験場などの専門家から技術指導等を受けられる環境が整備されている。
しかし農業”経営”については、日本の6割強を占める農協系統の農家では、年一回の確定申告書で経営状況を把握している現状がある。
特に、次世代農家は経営数字を知る機会が限られており、農業を事業として維持・拡大することが容易ではない。農家が直面している課題の例として、「当日の出荷量に応じた想定売上がすぐにわからない」、「需要と供給のバランス(稼ぎ時かどうか)をシーズン中に把握する機会がない」、「出荷量や売上に関して地域の平均等と月次で比較する術がない」、「設備や農機等の投資効果を数字で判断できる術がない」、「気軽に生産計画と実績の管理を支援するツールが充実していない」などが挙げられる。
アライアンスの概要と展望
テラスマイルは、地方創生で攻めの農業政策を掲げている自治体や、農業分野での新規事業を企画している企業を中心に、ICTやデータを活用した産地戦略のコンサルティング、農業経営の可視化・分析ツールおよびレポート提供等の事業を展開している宮崎発のスタートアップ企業だ。
一方SBTは、農地情報プラットフォームのサービス開発などの新しい農業の実現に向けたIoTサービスの開発などを行っており、クラウドやビッグデータの分析と活用に関する知見・ノウハウを有している。
今後、テラスマイルとSBTは、9月からのサービス提供を目標に、テラスマイルが保有する農業経営の可視化・分析ツール及びレポート提供のノウハウを活用し、「農家の売上やコストを可視化し、地方創生や若手農家の所得向上に繋げるための農業経営の見える化サービス」と「農業経営に必要な様々なデータを組み合わせて機械学習(AI)で出荷量等を予測し、有利な条件での取引・販売、受発注を支援する分析レポーティングサービス」の開発を進めていく。
将来的な展望
将来的には、開発したサービス上に蓄積されるデータ等を機械学習で分析し、農機メーカーや農業協同組合、金融機関等の農家支援者向けにレポーティングするフィンテック領域のサービス開発も視野に、2019年度までに累計3億円以上の売上を目指す。
農業系スタートアップとしてこれまで注目を集め、さまざまなコンテストなどの受賞歴も多いテラスマイル。今回のアライアンスを契機にまた一段とビジネスを進めていくものとみられる。宮崎県のベンチャーの期待の星として是非がんばってほしい。