3月9日、品川のコクヨホールで開催された起業家万博を見てきた。
起業家万博とは
「起業家万博」とはIT系スタートアップが、独自のプロダクト・サービスを発表し、事業提携・資金調達・販路拡大・人材確保などのビジネスマッチングを目指すイベントだ。
ちなみに「起業家万博」の「万博」は「万国博覧会」ではなく「国」の文字を「ヒト」に置き換え、「万博=万人博覧会」という意味とのこと。主催はNICT(情報通信研究機構)だ。
各地域で行われた予選を勝ち抜いたベンチャーが集結し、ピッチを行う。今回は八つの地域からエントリーがあった。
他のピッチコンペティションとの大きな違いは、予選後に1社につきひとりのメンターがつき、メンタリングを本戦まで繰り返し行うことだ。メンター陣は日本ベンチャーキャピタル協会安達顧問、アーキタイプ中嶋氏、サイバーエージェントベンチャーズ田島氏と錚々たる顔ぶれが並ぶ。本戦以降もこのようなメンターとリレーションを築けるということ自体がビジネスの成長に向けて有意義であり、これだけでも起業家万博にチャレンジする価値はあるだろう。
MCはkatchamanこと勝屋久氏。
いつもどおりに会場を繋げながら、盛り上げてくれる。
参加のベンチャーとそのメンター
北陸
■株式会社アイ・ツー
新たな高齢者向けビジネスを低コスト・スピーディーに実現できる介護プラットフォームの提供
メンター Genuine Startups株式会社 代表取締役 伊藤 健吾氏
IoTを活用し、要開度認定の精度向上を目指す。具体的には各家庭にセンサーを設置し、データを蓄積。データマイニングを進めて介護の適正を上げことを目指す。まずはセンサーを設置する家庭や施設を増やし、データをどう集めるかが注目ポイントか。
東北
■株式会社FaBo
オープンソースハードウェア「fabo」の製造・販売
メンター 日本ユニシス株式会社 最高技術責任者 保科 剛氏
ハードウェアのプロトタイピングツール。ソフトウェアの開発に比べて、ハードウェアのプロトタイプのハードルは高い。ハードウェアのリーンなスタートアップが可能となる世界を実現してもらいたい。
北海道
■株式会社イークラフトマン
ソクウケ! 受注担当アプリ
メンター BIJIN&Co. 代表取締役 田中 慎也氏
いまだに日本ではFAXでの受注、出荷の確認がおこなわれている場面が多く、誤入力などの事務リスクが存在する。ソクウケは取引の流れを最適化される。海外との取引への活用、展開が期待される。
九州
給与担保のカード代替決済システム「Payming」
メンター 一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 特別顧問 安達 俊久氏
貧困国ではそもそも銀行口座をもっていない人々が数多く存在する。そういった人たちは高い金利を借りて生活資金を捻出せざるを得ず、さらに生活を逼迫する。Paymingは給与を担保に買い物決済を行うシステムだ。世界展開をすすめ、売上高1兆円を目指す。
福岡県Rubyコンテンツ産業振興センターの城石企画監とStartupGoGo代表の岸原がドレミングアジアについて応援コメントを話した。
中国
■株式会社HRDatabank
国境を越えた求人・求職プラットフォーム「HR Databank」
メンター 株式会社サイバーエージェントベンチャーズ 代表取締役社長 田島 聡一氏
外国人人材が日本で働くにはビザ取得などに高いハードルがある。外国人人材と企業のマッチングを行い、さらにその後のビザ取得までサポートする。日本の労働人口減少問題に対するソリューションを目指す。
信越
■株式会社イヌパシー
犬の幸福度プラットフォーム:犬パシー
メンター 公認会計士 山下 隆氏
犬は4匹に1匹はうつを患っているというデータがある。犬の心理状況を心拍数などからリアルタイムで把握し、発光色で知らせるデバイスを開発。
近畿
■株式会社otta
みんなで、みまもる。これからの見守りサービス「otta」
メンター アーキタイプ株式会社代表取締役/マネジングパートナー 中嶋 淳氏
児童や高齢者が巻き込まれる事件があとをたたない。低コストで基地局を設置し、地域全体の見守りシステムを構築する。すでに広島、福岡などで実証実験がスタートしている。
東海
■田園社会イニシアティブ株式会社
農業経営者のためのオンラインキャンパス「SMART BEANS」
メンター リーンネクスト・キャピタル&コンサルティング 代表 森下 信司氏
効率的な生産につなげ、農業をビジネスとして成立させるためのオンラインキャンパスを展開。経営と農業をつなげ、底上げを目指す。
結果発表
まずは企業賞
NTT データ賞に選ばれたのは
ドレミングアジアとイヌパシーの2社
IBMbluehub賞は
HRDatabank
日本マイクロソフト賞は
株式会社otta
富士通賞は
ドレミングアジア
つづいて当日会場に訪れたオーディエンスの投票できまるオーディエンス賞は
イヌパシー
最後に最優秀賞にあたる総務大臣賞は
ドレミングアジア!!
ドレミングアジアは企業賞2つを含む3つめの受賞。2015年起業家万博の頂点にたった。
当日は高市早苗総務大臣も来場し、直接表彰を行った。
今回はドレミングアジアが福岡の代表として、全国の舞台で堂々とビジネスをPRした。ドレミングアジアはこれも一つのステップとして、今回得たネットワークを活かして着実に世界にPaymingを展開していくだろう。イベントで賞をもらうことが目的ではない。しかしこういった場面でしかえられないバックアップやネットワーク、PR効果がある。サービス立ち上げのフェーズでは特にこういったサポートを活用することは有効な手段だ。