StartupGoGo interview with Startup 「九州のスタートアップシリーズ第1弾」anect株式会社 CEO 木村一郎氏

インタビュー スタートアップインタビュー

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九州に本拠地を置くスタートアップへのインタビュー。ビジネスやプロダクトについてはもちろん、ファウンダーの方の背景にまでフォーカスを当てていきます。記念すべきシリーズ第1弾はanect株式会社 CEO 木村一郎氏

anect株式会社 CEO 木村一郎氏 

平成28年4月20日

 

Q まずは、anectの概要と事業内容ついて教えていただけますか?

 

木村氏(以下K) 弊社は昨年の2月に設立した創業1年ちょっとの会社になります。東南アジア、特に今はインドネシアにフォーカスし、インドネシアの人がインドネシアの人に物を売ることができるプラットフォームの開発をしています。

 私自身は2度目の起業になります。1度目の起業は東京でしたが、anectは福岡を本拠地としております。anect はアジアのマーケットを目指すスタートアップです。アジアを目指す会社を作ったきっかけとしては、東南アジアでは、インターネット人口が増加する状況の中で、インターネットを使った取引のうち、個人対個人が6割くらい占めると言われており、詐欺など問題も多く発生している現状があること知り、ITの技術を使って東南アジアの生活がもっとよくなることに貢献したいと思ったことでした。我々がプラットフォーマーになることで、ITの技術でイーコマースの流れを一元化して詐欺をなくしていくということができるのではないかと思っています。その中で、人口的にも、インターネット、スマートフォンの普及段階でもベストなタイミングだと思ってインドネシアを選択しました。

 サービスは「toko-toko(トコトコ)」という名前で展開しています。オンラインショップは通常まずショップを作って、配送業者を決めて、銀行口座を登録する必要がありますが、当社のサービスはすぐに写真を載せることができ、すぐに取引ができるというのが特徴になります。もう一つの特徴としては買い手が売り手に金額のオファーができます。これは東南アジアの商習慣としてオンラインショップであっても値切り交渉をするという、日本では考えにくいことが行なわれており、それをシステムとして対応しています。

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Q 競合の状況は?

 

K 東南アジア全般に同じようなサービスは増えてきています。一番の競合としてはシンガポール発のCarousell(カルーセル)というサービスです。彼らはユーザーに直接会って取引をすることを推奨しています。つまりアプリの中で決済ができない仕組みになっています。しかし、カルーセルがサービス展開するシンガポールと違い、インドネシアは国土が広いので直接会うのは難しいと思います。直接会って受け渡ししないとすると配送サービスが必要になりますし、配送するには先に決済されてないと安心もできないと思います。当社のサービスがネット上の決済ができる機能は差別化になると思います。

 決済手段は、クレジットカードがまだ普及していなくて、銀行振り込みが多く、銀行のオンラインペイメントなどもよく使われています。ただ最近はデビットカードの普及率が増えてきています。要望もきているので当社でもデビットカードには対応する予定にしています。配送業者は売り手のユーザーが直接手配しています。

 

Q 福岡から海外を対象にビジネスをするというのは珍しいと思いますが、どのような体制で行っているのですか。

 

K 開発は日本で行って、ビジネスサイドのオペレーションは現地のスタッフと協力して行っています。普通は逆で、開発は人件費が安い現地でというのが多いと思うのですが、日本のエンジニアの技術力の高さは武器だと考えているので開発は日本で行っています。オペレーションは現地の状況を理解する必要があるので、現地スタッフと話し合いながら施策を考えて行っています。福岡は3人で最近インドネシアの留学生が1名インターンとして入りました。現地は1名マーケティング担当がいます。

 

Q インドネシアでのユーザー獲得戦略としてはどのように考えていますか?

 

K SNSは日本以上に生活に浸透しており、特にfacebookとインスタグラムが普及しています。そのためまずはたくさんのユーザーに拡散して、その後個人のユーザーにファンになってもらえればと思っています。それからバイラル効果を狙っていきます。当面の目標としてはインドネシアで50万ダウンロードを目指していて、その後東南アジア全般に広げていければと思っています。

 

Q 木村さんのことについても教えてもらえればと思います。起業のきっかけは?

 

K 学生時代、特に大学の後半の方では社長業をしている人と出会うことが多くて、会社を作ることにあまり抵抗はなくなっていたと思いますが、大学に入った時は、実は公務員になろうと思っていました。大学生活を送っているうちにいつのまにか起業家を志すようになっていました感じです。父親は郵便局員で母親は教員で家系的にもずっと公務員家庭でした。親から反対はされなかったのですが、東京でエンジニアとして一般企業に就職するときは反対されました。福岡に帰ってきて起業するというときは、福岡に帰ってくるならいいかということもあって特に反対はされませんでした。

 また、学生時代に知り合いの九州大学の先生がNPO法人でカンボジアの支援をしていて、カンボジアにステディーツアーに参加したことがありました。そのときが初めての海外だったのですが、生きるとは何かということを考えるきっかけになりました。日本に戻ってきて、今度は逆に先進国のことも知りたくなって、ベンチャーの最先端が学べる九州大学が行っているQREP(ロバートファンアントレプレナーシッププログラム)に参加しました。そこで、大企業ではない生き方、公務員ではない生き方に触れることできました。そのときに学んだことは経済的に成り立たないと何もできないこと、経営することの大事さです。

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Q 東京での起業と福岡での起業の両方を経験されていますが、違いを感じますか?

 

K 福岡の方がなにかにつけて周りの方が肯定的な気がします。私が東京で起業した当時はキュレーションメディアが流行っていて、PV至上主義的なところがありました。それに対するアンチテーゼとして、私としては何を解決するかというのを出発点に考え、また福岡からアジアでビジネスする際に考えています。

 

Q 今後の成長のために必要なことはなんでしょう?

 

K サービスを成長させるためにはという視点で考えると、私自身がエンジニア出身者なのでマーケティング的なところが弱いなと思っています。特に海外にサービスを広げるという事例としては東京でも少ないので、マーケティングに関して日本の他社を参考にしてということは難しいと思います。海外の事例を参考にしつつ、自分たちが切り開いていくしかないかなと思っています。

 次は資金をどう調達していくかというのが課題だと思っています。徐々に資金調達については福岡でも事例が出てきているので勇気づけられているところですが、自分たちも資金調達できるノウハウを身に着けていければと思っています。

 あとはリクルーティングがあります。エンジニア出身なのでエンジニア部分については、他社に比べてあまり苦労はしていないと思いますが、エンジニア以外の人材については、取り合いになり、苦労しています。インドネシアでの人材獲得はインターネット上でネットサーフィンしてめぼしい人に直接コンタクトを取っています。Linkedinなども活用しています。

 

Q 天神COLORでのアクセラレーションプログラムにも積極的に参加いただいていますが、感想などお聞かせいただけますか。

 

K アクセラレーションプログラムで私たちに不足している部分を多方面から補完してもらえたのは、とてもよかったと思います。成功した人、成功しようとしている人の生の声を聴くことで刺激になって勉強になりました。そういった方の話の一言が自分を変えるきっかけにもなりました。本で聞く一言よりも生で聞く一言というのは改めて大きく違うなとも思いました。また、アクセラレーションプログラムでは海外で活躍するメンターの方が多かったのは、私にとってとてもよかったです。

 

Q 福岡がStartupで盛り上がっていますが、現状をどう考えていますか。

 

K 我々のような事業をしていると目立ちやすくて、普段はネットワークに引っかからないような方を紹介してもらうことも多くて、キャッチアップする機会にもなっているという点において起業するには東京よりは福岡のほうがやりやすいと思います。

 自分たちがモデルになって、海外を目指してStartupするなら、福岡でというようになればいいなと思っています。

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